留学は語学力やスキルの向上にもつながる貴重な機会です。とはいえ、「現地に行けば自然に英語が話せるようになる」と考えていると、思うような成果を得られずに後悔することもあります。
留学前の段階で英語力をしっかりと伸ばしておくことは欠かせません。
本記事では、留学経験があり、留学エージェントとして英語学習のアドバイスもしていた筆者が、留学前の英語勉強法について解説します。
学習のポイントはもちろん、筆者が実際に使って効果を感じたおすすめの参考書やアプリも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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留学前に英語勉強は必要?
具体的な英語勉強法を解説する前に、「なぜ留学前に英語の勉強が必要なのか」を以下の2点から詳しく解説します。
- 留学に必要な英語力の目安
- 英語力があると留学がうまくいく理由
留学に必要な英語力の目安
留学のためには入学要件として英語力が求められる場合があります。
下記は、主な留学タイプごとの英語力の目安です。
留学のタイプ | 留学に必要な英語レベルの目安 | CEFR換算目安 ※CEFRは国際的な英語力指標 |
---|---|---|
大学留学 | IELTS 6.0以上 TOEFL iBT 80以上 |
B2レベル以上 |
大学院留学 | IELTS 6.5以上 TOEFL iBT 90以上 |
B2レベル以上 |
高校留学 | 英検3級〜準2級程度 | A1〜A2 |
語学留学 | 初級〜 ※資格対策コースやビジネス英語コースの場合は中級レベル以上が一般的 |
A1〜 |
ワーキングホリデー | 初級〜 | A1〜 |
※文部科学省「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」を参考に筆者が作成
大学・大学院留学では、入学要件をクリアするために英語の勉強を進めておく必要があります。
一方、語学留学やワーホリには明確な英語要件がないことが多く、ビザ申請でも英語力が問われることはほとんどありません。しかし、実際に現地で生活し、学習をスムーズに進めるためには、最低限の英語力を事前に身につけておくことが重要です。
英語力があると留学がうまくいく理由
留学前に最低限の英語力を身につけておくことで得られる具体的なメリットには、以下のようなものがあります。
- 授業の理解度が上がる
- ホームステイ先での会話がスムーズになる
- 現地で友達が作りやすくなる
- 仕事を得るチャンスが増える
- 万一のトラブルにもうまく対応ができる
ホームステイ先での会話や友達作りがうまくいけば、ホームシックを防ぎやすく、留学生活も安定しやすくなります。
また、現地での交流が広がれば、それだけ英語を話す機会も増え、英語力アップにもつながります。
筆者が語学留学をサポートした経験では、CEFR B1レベル(英検2級程度)以上の英語力がある方は、現地での交流もうまくいき、仕事を見つけられることが多かった印象です。
留学を有意義なものとするためには、まずはB1レベルを目指し、可能であればB2レベルの英語力を目指して準備を進めるのがおすすめです。
留学前の英語勉強の3ステップ
実際に留学前の英語勉強を進めるには、次の3つのステップを意識しましょう。
- STEP 1:自分の英語力を知る
- STEP 2:英語の基礎力(文法・語彙力)を強化する
- STEP 3:英語のアウトプットの習慣をつける
以下でそれぞれ詳しく解説します。
STEP 1:自分の英語力を知る
まずは、自分の英語力を正しく把握することが大切です。
これにより目標や学習プランを正しく設計できます。
自分の英語レベルを知るには、TOEICや英検などの資格試験を受けてみるのも方法です。
大体の目安を知るなら、Cambridge Englishのレベルチェックテストを受けてみるのもいいでしょう。
自分の英語レベルを正しく理解できていれば、教材を選ぶ際にも自分のレベルに合ったものを選びやすくなり、学習効率を高めることにつながります。
STEP 2:英語の基礎力(文法・語彙力)を強化する
CEFR B1レベルの英語力を目指すなら、中学・高校レベルの文法や語彙をしっかり押さえる必要があります。
文法書や単語帳、アプリなどを活用して、英語の基礎力をつけましょう。
参考書で学ぶ場合、よい教材は数多くありますが、1冊を繰り返し学習することで学びが定着しやすくなります。
STEP 3:英語のアウトプットの習慣をつける
英語力アップのためには、インプットだけでなく、アウトプットも欠かせません。
積極的に英語を話すことで、英語独特の発音やリズムに慣れ、英語を話すために必要な口の筋力を鍛えられます。
STEP 2とSTEP 3はステップを完全に分ける必要はなく、語彙力がついてきたと感じたら、早めにアウトプット練習を始めましょう。
実際に英語を話すと、スピーキング力だけでなく、リスニング力や語彙力も必要となるため、参考書を使った学習とは異なるアプローチで英語力アップを図れます。
【文法・語彙力強化】留学前の英語勉強におすすめの教材・アプリ
英語の文法・語彙力を強化するためにおすすめの教材を、以下3つのカテゴリー別に紹介します。
- 単語帳
- 文法書
- アプリ
単語帳|『キクタン』『TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ』
語彙力強化のための単語帳には、『キクタン』シリーズと『TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ』がおすすめです。
『キクタン』は、単語・意味・フレーズ・例文の順で構成されており、単語の使い方までしっかり確認できるようになっています。
音声教材付きで、リズムに乗せてそれぞれの単語の発音を覚えやすいのもポイントです。
英語初級〜中堅私大レベル向けの『キクタン【Basic】4000語レベル』や、英語初中級〜難関大学レベル向けの『キクタン【Advanced】6000語レベル』などがあり、自分のレベルに合わせて選べます。
また、TOEICスコアが500点に到達している方には「金フレ」の呼び名で知られる『TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ』もおすすめです。
TOEICというとビジネス英語のイメージを持つ方も多いかもしれませんが、日常会話で使える単語や表現も多く学べるため、留学前の語彙力強化にはTOEICの対策学習も効果的です。
この教材も無料で音声が聞けるので、発音もあわせて各単語をよくチェックしましょう。
>>『キクタン』シリーズ
>>『TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ』
文法書|『総合英語Evergreen』『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく』
英語の基礎力強化のために中学・高校レベルの英語文法をしっかり見直したい方には、『総合英語Evergreen』がおすすめです。
筆者もこの教材を何度もやり込み、つまずいた部分に付箋をつけて重点的に復習することで、TOEICスコア480から600に伸ばした経験があります。
ただし、この参考書は文法を細かく解説する内容のため、初心者にはやや取り組みづらく感じられる場合もあります。
英語初心者や文法の学習に抵抗がある方には『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく』がおすすめです。中学3年間で学ぶ文法をイラスト付きで解説しています。
どちらの教材も、自分のレベルや学習スタイルに合わせて選ぶことが大切です。無理なく続けられる1冊を見つけて、その教材を繰り返し学習することで、英語の基礎力をしっかりつけましょう。
>>『総合英語Evergreen』
>>『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。改訂版』
アプリ|Duolingo・スタディサプリENGLISH
アプリで学習を進めたい方には「Duolingo」と「スタディサプリENGLISH」がおすすめです。
「Duolingo」は基本的な機能を無料で使えて、気軽に英語学習に取り組めるアプリです。
発音チェックや並び替え、穴埋め、選択形式など、さまざまな問題形式でターゲットになる単語やフレーズを学べます。
毎日学習を続けていくと、連続学習記録の数字も増えていくため、毎日続けやすいのもポイントです。
ある程度コミットして学習したい方には、有料アプリの「スタディサプリENGLISH」がおすすめです。
「新日常英会話コース」や「TOEICテスト対策コース」といったコースがあり、NativeCampの英会話レッスンをセットで利用できるプランもあります。
「TOEICテスト対策コース」では、細かな文法解説の動画講義もあり、文法理解をさらに進めたい方にもおすすめです。
>> Duolingo
>> スタディサプリENGLISH
【アウトプットの習慣づけ】留学前にスピーキング力を上げる英語勉強法
先に紹介したアプリを活用すれば、英語を発する練習も可能ではありますが、留学前の英語勉強法では、さらに積極的に英語を話す練習をしておくことが大切です。
実際、筆者は留学前からアウトプットを意識していたことで自信がつき、現地でも会話を楽しめたと感じています。
以下で、アウトプットにおすすめの学習法を紹介します。
オンライン英会話
周りに英語を話す友人がいない場合、オンライン英会話はもっとも手軽に英語を話す機会を作る方法でしょう。
カリキュラムに沿ったレッスンも受けられますが、ほとんどの場合フリートークでのレッスンも可能です。
レッスン開始時に留学に行くことを伝えて、より実践的な会話練習ができないか講師に相談してみましょう。
英会話カフェ・ミートアップ
英会話カフェやミートアップなど、国際交流の場所に行って英語を話す機会を作るのもおすすめです。
英語を話す練習ができるだけでなく、留学先から日本に来ている人や留学経験者に出会えることもあり、留学に関する情報交換の場となることもあります。
筆者は、言語学習者同士の交流会「ランゲージ・エクスチェンジ」に参加することがよくあり、交流会の外でもお互いに励まし合いながら学習を進めることもありました。
英語学習の仲間ができたのは、学習のモチベーションアップにも効果的でした。
シャドーイング
誰かと会話しながら英語力を伸ばす方法ではありませんが、「シャドーイング」も積極的に英語を口に出し、正しく発音する力をつけるのに効果的な学習方法です。
シャドーイングとは、聞こえた英語の音声をすぐ後から繰り返して発音するトレーニング方法です。
“come on” が「カムオン」ではなく「カモン」と発音されるような英語の音声変化を聞き取り、正しく発音する力が養われます。
スピーキング力はもちろん、リスニング力の向上にも高い効果があり、筆者もこの方法を取り入れたことで英語の発音が滑らかになり、TOEICのリスニングスコアで50点アップさせられました。
教材としては、TOEICのリスニングパートやTED Talkの音声などが最適です。
字幕付きのものがあれば、留学先の国を英語で紹介するYouTube動画などは、英語とともに現地の文化や歴史にも触れられるのでおすすめです。
留学前にチェック!実践的な英語勉強のポイント
英語の基礎力強化やアウトプットの習慣付けができてきたら、留学に向けた実践的な準備として、下記のポイントも意識してみましょう。
- 挨拶・自己紹介に備えておく
- 日本について説明できるようにしておく
- 接客英語を学んでおく
以下で、それぞれ詳しく解説します。
挨拶・自己紹介に備えておく
留学中は、ホストファミリーやクラスメイトなどに英語で自己紹介する機会が多くあります。
自分のことや趣味などを英語で表現できるようにしておきましょう。
「自己紹介を練習したい」とリクエストして、オンライン英会話やChatGPTの音声チャット機能を活用するのも効果的です。
筆者は留学中「なぜ留学しようと思ったのか」という質問をよくされたので、留学の理由について英語で話す練習をしておくのもいいかもしれません。
日本について説明できるようにしておく
留学中に出会った人から、日本について尋ねられることもよくあります。
日本の文化や観光スポット、日本の制度に関することなど、日本のことを英語で説明するための準備もしておくとスムーズです。
YouTubeやTikTokなどで日本を英語で紹介する動画を見てみたり、英語版の観光パンフレットや地域ガイドなどを見たりすると、英語力アップにつながるだけでなく、日本についてよく知るきっかけにもなります。
接客英語を学んでおく
現地でアルバイトができる場合、留学生が働くことが多いカフェやレストランで使える英語表現を学んでおくのもいいでしょう。
たとえば、「こちらでお召し上がりですか?お持ち帰りですか?」「こちらへどうぞ」といった表現を学んでおけば、自身がカフェやレストランを利用するときにも役立ちます。
接客英語の練習には、レストランやカフェでの会話文章を使ったシャドーイングや、オンライン英会話でのロールプレイがおすすめです。
留学前の英語勉強で留学を成功に近づけよう
留学を実りあるものとするには、留学前からしっかり英語力をつけておくことが重要です。
ここでさまざまな教材や勉強法を紹介しましたが、最終的に大事なポイントは、試行錯誤のなかで自分に合ったやり方を見つけ、継続して学習を続けることです。
まずは、少しでも留学を成功に近づけられるよう、ここで紹介した方法から試してみてください。