「若いころに英語を話せるようになりたかった」
「子育ても仕事も落ち着いた今こそ、自分の時間を過ごしたい」
そんな想いから、英語を学び直す方が50代・60代を中心に増えています。人生の“第2ステージ”として「海外に留学する」という選択肢が増加しており、その行き先として注目を集めているのがフィリピンへの留学です。
筆者自身、現在セブ島に在住し、フィリピンの教育環境や現地生活に精通した留学エージェントとして、シニア層の留学サポートを行っています。
現地で数多くの留学生を見てきた経験をもとに、安心して学べる学校の選び方や、シニアに適した語学学校や環境の特徴をお伝えします。
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シニア層の英語学習需要が高まる背景

近年、50代・60代を中心に「英語をもう一度学びたい」という声が増えています。その背景には、次のような社会的・心理的な変化があります
人生の節目を迎えた“学び直し”への意欲
定年退職やお子様の独立などをきっかけに、「これからの人生をどう過ごすか」を考える方が増えています。
- 退職後に新しいことへ挑戦したい
- 海外旅行をもっと楽しめるようになりたい
- 自分の力で世界を広げてみたい
これまで家族や仕事を優先してきたからこそ、今度は自分のために学びたいという思いが生まれています。
情報環境の変化で「自分にもできる」と感じやすく
近年は、インターネットやSNSを通じて留学情報が簡単に手に入る時代になりました。
以前は「留学=若者の特権」というイメージがありましたが、今ではYouTubeやブログで実際の留学生活を手軽に見られます。
その結果、「自分にもできるかもしれない」「現地での生活が想像できる」と感じ、留学への一歩を踏み出す方が増えています。
実際の事例:退職後に夢を叶えた60代女性
私がサポートしたお客様の中にも、まさにそんな方がいらっしゃいました。
ご自身の定年退職をきっかけに、長年の夢だったセブ島留学を実現された60代の女性です。
最初は「授業についていけるか不安」と話していましたが、2週間の語学学校での学びを通じて、講師や同年代の留学生との交流を心から楽しむようになりました。
帰国後もオンライン英会話で学習を続け、現在はTOEIC800点を目指して、再びセブ島でTOEIC対策コースのある語学学校に入学予定です。
フィリピンがシニアに選ばれる主な理由

費用を抑えて実現できる留学先
フィリピン留学は、授業料・宿泊費・食費込みで1か月あたり26〜46万円ほどです。欧米留学の約半分の費用で、本格的な英語学習が可能です。
人件費や物価が安いため、質を落とさず費用を抑えられるのが魅力で、年金や貯蓄の範囲でも無理なく挑戦できる現実的な選択肢です。
英語初心者でも安心のマンツーマン授業
授業の多くは1対1形式です。
講師がレベルに合わせてゆっくり進めてくれるため、「他の人に気を使う」「ついていけない」といった心配がありません。
実際、英語にブランクのある方でも2〜4週間で日常会話の手ごたえを感じる人が多いです。
気候と人柄がつくる安心して学べる環境
フィリピンは平均気温25〜30℃の温暖な気候で、寒暖差による体調不良が少なく過ごしやすい国です。
さらに、フィリピン人はとてもフレンドリーで、どんな英語でも笑顔で受け入れてくれる優しさがあります。授業外でも自然に会話が生まれ、英語を生活の一部として楽しめる環境です。
このように、フィリピンは「費用・授業・生活」の3点でバランスが取れた留学先として、シニア層が安心して挑戦できる国として選ばれています。
フィリピン・シニア留学のメリットと注意点
英語を教えるプロが多い国
フィリピンでは英語が「第2言語」として定着しています。
小学生のころから英語で授業を受けるため、講師たちは「英語を学ぶ人の気持ちがわかる先生」が多いのが特長です。
ネイティブのように感覚で教えるのではなく、文法や発音のつまずきやすいポイントをわかりやすく説明してくれます。
英語にブランクがあっても、聞ける・話せるを実感しやすい環境です。
日本から近く、身体への負担が少ない
日本からフィリピンまでは直行便で約4〜5時間です。時差はわずか1時間しかなく、時差ボケの心配もほとんどありません。
到着した翌日から授業を受けても疲れにくく、長距離フライトが不安な方でも挑戦しやすい距離です。
また、生活リズムが日本と大きく変わらないため、体が環境に順応しやすく、無理なく続けられるのも安心ポイントです。
日本の携帯電話をそのまま使える安心感
最近では、日本の携帯回線(eSIM対応)をフィリピンでもそのまま利用できるようになっています。
私自身はpovoを使っていますが、日本でeSIMを設定しておけば、フィリピン到着後もアプリ上でデータ通信を購入してすぐに使うことができます。
通信費はやや割高ですが、日本の電話番号を維持できるのは非常に便利です。
特に長期滞在では、銀行のネットバンキングや本人認証で日本のSMSが必要になることがあり、日本の番号が使えないと想像以上に不便です。
小さなことかもしれませんが、留学生活の安心感がぐっと高まります。
また、フィリピンではコンビニや空港で現地SIMカードが購入可能です。現地用SIMをデータ通信に、日本の番号を認証用に使うと、「通信費を抑えつつ日本との連絡も保てる」というバランスの良い使い方ができます。
フィリピン留学前に知っておきたい注意点

インフラが整っていないことを理解しておく
セブ島はリゾート地として人気がありますが、日本と比べるとまだ生活インフラが整っていない面があります。
雨が強く降るとネットが不安定になったり、舗装が十分でない場所も多く、歩くときは足元に注意が必要です。
トイレ事情も日本とは少し違います。排水管が細いため、トイレットペーパーを流すと詰まりやすく、多くの施設ではトイレ内のゴミ箱に捨てるのが一般的です。
日本と比べれば自然災害にも弱く、2025年10月にセブでマグニチュード7の地震が発生した際には、私の住むコンドミニアムでも壁にひびが入りました。
一部の地域では建物の倒壊もあり、エレベーターが1週間ほど使えなかったところもあります。
また、台風の時期には冠水や停電が起こることも珍しくありません。
日本では大きな問題にならないような自然現象でも、ここでは生活が一時的に止まるほどの影響を受けることがあります。
特別な準備をしなくても、あらかじめフィリピンの環境を理解しておくだけで、いざという時にもストレスが少なく過ごせるようになります。
安全面は常に意識して行動を
フィリピンは外務省の危険情報でレベル1(十分注意)に指定されています。
スリや置き引きなどの軽犯罪には注意が必要です。特に夜間の一人歩きや繁華街での外出は避けましょう。
私が実際に現地で見て驚いたのは、タクシーの信号待ちのわずか1〜2分の間に、子どもや体の不自由な方が窓越しにお金を求めてきた光景でした。
日本では見られない現実に、強いカルチャーショックを受けました。
衛生面には細心の注意を
フィリピンの水道水は、そのまま飲むことはできません。水源から家庭までの配管が古く、途中でサビや細菌が混ざる可能性があるためです。
煮沸しても完全に安全とは言い切れず、現地ではミネラルウォーターを購入するのが一般的です。
500mlでおよそ20〜30ペソ(約60〜80円前後)で、スーパーやコンビニで簡単に手に入ります。
また、露店や屋台の食べ物にも注意が必要です。
値段が手ごろでローカルの雰囲気を楽しめますが、中には虫が集っていたり、調理器具の衛生管理が十分でない店もあります。
長時間外に置かれた料理は雑菌が繁殖しやすく、お腹を壊す原因になることもあります。
特に気をつけたいのが氷入りの飲み物です。
フィリピンでは氷を作る際に水道水を使うことが多く、見た目が透明でも中の衛生状態は分かりません。不純物や細菌が混ざっている場合、腹痛や下痢を引き起こすことがあります。
外食の際は氷なしのドリンクを注文し、食事は清潔なレストランや学校の食堂を利用するのが、衛生面を考慮すると無難です。
シニアにおすすめのフィリピン語学学校初心者・50代〜60代に人気の学校
【Cebu American English Academy(CAEA/セブ島)】

CAEA校舎の写真
https://caea-ph.com/
シニア層が安心して学べる、サポート体制が整った学校
CAEAは、40〜70代の学習者が多く在籍する、セブでは珍しいシニア専門校です。
授業はすべてマンツーマン。講師が一人ひとりの理解度に合わせて進めてくれるため、英語が久しぶりでも無理なく学べます。
日本人スタッフが常駐しており、生活・健康の相談も日本語でOK。
宿舎は静かで清潔、教室との距離も近く、体への負担が少ない設計です。
- シニアに向いている理由
- サポート体制が手厚い
- 同年代の学習者が多く、安心感がある
- 医療・生活面の支援が充実
- おすすめの人
- 「初めての留学で不安がある」
- 「サポート重視で学びたい」
【Brilliant Cebu English Academy(セブ島)】

Brilliant Cebu校舎の写真
https://www.brilliant-cebu.com/
社会人・シニア層に人気。快適さと安全性を両立した学校
Brilliant Cebuは、ショッピングモール直結のホテル型キャンパス。
外出せずに買い物や食事ができ、雨の日でも安全に生活できます。
授業は会話中心で、実用的な英語を身につけたい方に最適。
館内はバリアフリーで、24時間警備が整っており、女性一人でも安心です。
- シニアに向いている理由
- モール直結で治安・利便性ともに高い
- 社会人や女性の単独参加が多く、落ち着いた雰囲気
- 快適な施設で、生活面のストレスが少ない
- おすすめの人
- 「安全で快適な環境を重視したい」
- 「勉強も観光もバランスよく楽しみたい」
【English Fella 2(セブ島)】

English Fella 2校舎の写真
https://englishfella.com/
中高年専用シルバーコースあり。落ち着いた老舗校
English Fella 2は、セブでもトップクラスの実績を誇る老舗校。
教育システムが安定しており、教師の質が高いことで知られています。
特に注目は、中高年専用の「シルバーコース」。
発音・文法・会話を基礎から丁寧に学べるため、久しぶりの英語学習にも最適です。
広いキャンパスには食堂・カフェ・プールが併設され、快適な生活環境も魅力です。
- シニアに向いている理由
- 同年代が多いシルバーコースで安心
- 設備・講師の質が安定しており、長期滞在に向く
- 生活エリアがバリアフリーで移動しやすい
- おすすめの人
- 「英語の基礎を丁寧にやり直したい」
- 「落ち着いた環境で長く学びたい」
【EG Academy(クラーク)】

EG Academy校舎の写真
https://www.egesl.com/jp/
午前学習 + 午後ゴルフが可能。趣味と学びの両立校
EG Academyは、校舎のすぐ隣にゴルフ練習場があるユニークな学校です。
午前中に授業を受け、午後はゴルフや散歩でリフレッシュできるのが人気の理由。
授業はマンツーマン中心で、旅行英語や日常会話など“使える英語”を重視。
クラークは平坦な地形で移動が楽なうえ、空気も比較的きれいで体にやさしい地域です。
- シニアに向いている理由
- 趣味と英語学習を両立できる
- 坂道や階段が少なく、体への負担が軽い
- 健康的なライフスタイルを維持しやすい
- おすすめの人
- 「午前は英語、午後はゴルフなどを楽しみたい」
- 「勉強も運動も両方大事にしたい」
【Baguio JIC(バギオ)】

Baguio JIC校舎の写真
https://baguio-jic.com/ja/
40歳以上限定コースで、静かな環境に特化した学校
バギオJICは、標高1,500mの高原都市バギオにある学校。
年間を通して涼しく、勉強に集中しやすい気候が魅力です。
特に人気なのが、40歳以上限定の「Active Senior ESL」コース。
同年代の学習者と落ち着いた雰囲気で勉強でき、若い学生が多い学校が苦手な方にも好評です。
食事は油控えめで、野菜を多く使ったメニュー。健康管理にも配慮されています。
- シニアに向いている理由
- 40歳以上限定コースで、安心して学べる
- 涼しい気候で体調を崩しにくい
- 健康的な食事と静かな環境で集中できる
- おすすめの人
- 「静かに腰を据えて学びたい」
- 「同世代と学べる安心感がほしい」
フィリピンの地域別に見る特徴と選び方のポイント(セブ/クラーク/バギオ比較)
フィリピンの語学学校は主にセブ・クラーク・バギオの3エリアに分かれます。
それぞれに特徴があり、自分のスタイルに合った地域を選ぶことで、
快適かつ充実した留学生活が送れます。
【セブ】
都市型・観光や買い物も楽しめる定番エリア
- 日本人が多く、初めての海外でも安心
- 大型モール・病院・カフェが充実
- 海辺のリゾートも多く、観光も満喫できる
おすすめの人
英語初心者/短期留学希望者/便利さを重視する人
【クラーク】
平坦で歩きやすく、趣味も楽しめる落ち着いた街
- 渋滞が少なく、空気がきれいで静かな環境
- ゴルフ・公園・カフェが近く、健康的な生活がしやすい
- 落ち着いた郊外型で、生活リズムを整えやすい
おすすめの人
健康維持を重視/ゆとりを持って過ごしたい/都会の喧騒が苦手
【バギオ】
涼しく静かな高原都市。集中して学べる環境
- 年間を通して20℃前後の快適な気温
- 学習に集中できる落ち着いた雰囲気
- 治安も良く、交通の騒音も少ない
おすすめの人
長期でしっかり成果を出したい/暑さが苦手/集中して学びたい
エリア選びのヒント
- 便利さを重視するなら → セブ
- 穏やかな生活リズムを望むなら → クラーク
- 静かで集中した環境を求めるなら → バギオ
自分にとって心地よいペースで過ごせる環境を選ぶことが、シニア留学を成功させる最大のポイントです。
フィリピン・シニア留学の費用と生活イメージ
留学費用の目安と内訳
フィリピン留学の費用は、欧米留学の約半額で実現できます。
授業料・宿泊費・食事・現地費用などをすべて含めても、1か月あたり約26〜46万円が目安です。
3か月で約70万円、半年で130万円前後と、年金や退職金の範囲でも十分に計画できる現実的な水準です。
この中には、以下の項目が含まれます。
- 授業料・滞在費
- 食費(1日3食)
- 現地支払い費用(SSP・電気・水道代など)
- 海外保険費用
実際に生活してわかった “物価のリアル”
セブ島で生活して感じるのは、「確かに安いが、想像より極端ではない」ということです。
日常の出費はリーズナブルです。ローカル中心の生活では、食事も移動も格安。「物価が安い」と実感できる場面が多くあります。
- ローカル食堂:1食 100〜200ペソ(約270〜540円)
- タクシー初乗り:40ペソ(約110円)
スーパーでは品目によって差があります。食材によっては、日本とあまり変わらない価格です。
- ミネラルウォーター(500ml):20〜30ペソ(約60〜80円)
→ 水道水が飲めないため、毎日の購入が必要。 - りんご(1個):70〜90ペソ(約200〜250円)
→ 輸入品が多く、日本よりやや高め。 - 卵(12個入り):100〜120ペソ(約270〜320円)
- 鶏肉(1kg):180〜220ペソ(約490〜600円)

フィリピンのスーパー店内 (筆者撮影)
外資系ブランドは日本並み。カフェや輸入品を選ぶと、日本と同水準かやや高い印象を受けます。
- スターバックスのコーヒー:180〜200ペソ(約490〜540円)
意外と高いのが電気代です。
- 月3,000〜5,000ペソ(約8,000〜13,000円)
→ エアコンを毎日使った場合。年中暑いセブでは、扇風機の併用が節約のコツ。
ローカル中心の生活なら出費は抑えられますが、快適さや日本と同じ生活水準を求めると費用は近くなる。これが、実際に暮らして感じた「セブのリアルな物価感覚」です。
フィリピンのシニア留学で失敗しないための準備と心構え
まずは、健康管理が最優先です。体調が不安な日は無理せず休み、早めにスタッフへ相談しましょう。
英語を学ぶことも大切ですが、「元気に過ごすこと」が何よりの成功条件です。
目的を明確にすることも重要です。
「旅行をもっと楽しみたい」「外国人と話したい」「頭を使って若返りたい」理由は何でも構いません。目的を意識することで、日々の勉強に張りが出ます。
まとめ:安心して学べる「フィリピン・シニア留学」という選択
留学は、若者だけのものではありません。「今だからこそ」できる学び直しの形があります。
焦らず、自分のペースで一歩を踏み出せば、英語を通じて新しい世界が広がります。
年齢に関係なく、挑戦する気持ちがあればいつからでも学べる。それを証明してくれるのが、フィリピン・シニア留学です。






