イギリスは、オックスフォード大学をはじめとする世界トップクラスの教育機関が集まる国で、留学先として高い人気を誇っています。語学留学や高校留学、大学留学、さらにはワーキングホリデーなど、多様な留学スタイルが選べるのが魅力です。
一方で「イギリス留学は難しいのではないか」と不安を感じる方もいるのではないでしょうか。
本記事では、イギリス留学のメリット・デメリットや具体的な費用、どういう人が向いているのかを詳しく解説しています。イギリス留学に興味のある方や検討中の方は、是非参考にしてみてください。
イギリスでできる留学の種類5選
イギリスでできる代表的な留学の種類を5つ紹介します。留学したい期間や学びたい分野、年齢によって、ご自身に合った留学スタイルを選びましょう。あわせて、それぞれに必要なビザについても説明しているので、ぜひ参考にしてみてください。
1.語学留学
イギリスには英語学習に最適なコースが豊富に揃っています。一般英語から職業専門英語、ビジネス英語、留学・進学のための英語コースまで目的に合わせて選べる点が魅力です。ほとんどのコースで特別な入学資格は不要ですが、ご自身のレベルに合わせた学校やコース選びを行いましょう。
コース開始時期にも決まりはなく、短期から長期まで柔軟に受講可能です。6か月以内の短期の語学留学なら、ETA(電子渡航認証)(※)を取得することでイギリス英語が学べます。6か月〜11か月以内の英語コースには、短期留学ビザ(16歳以上)を取得しましょう。
※2025年1月8日より前の入国する場合はETAは不要です。
2.中学・高校留学
中学・高校留学では、全寮制(私立)のボーディングスクールに入学することが一般的です。通常、日本との学期の違いや英語力の問題から、1学年下に入学することになります。これは、GCSE(中等教育修了資格)やGCE-Aレベル(大学入学資格)の取得に向けて、十分な準備期間を確保するためです。
イギリスのボーディングスクールでは質の高い授業や設備、サポートが提供されており、世界中の大学に通用する知識やスキルを伸ばす準備に最適です。中学・高校留学には、児童学生ビザ(4歳〜17歳)、または学生ビザ(16歳以上)を取得しましょう。
3.大学留学
大学留学では、まず大学進学準備課程であるファウンデーションコースに1年間入るのが一般的です。ファウンデーションコースでは、英語力や専門知識の強化に加え、ノートの取り方やレポート作成など大学生活に必要なスキルを習得します。
直接入学も可能ですが、GCE-Aレベル資格がない場合はこの準備課程が効果的です。イギリスの大学は基本3年制のため、短期間で学士号が取得できる魅力もあります。
大学留学には学生ビザを取得しましょう。なお、学生ビザの取得には英語試験の一定レベルのスコア(CEFRレベルB1もしくはB2相当)が必要です。
4.専門学校留学
専門学校留学では、公立のカレッジや私立の専門学校でGCE-Aレベルの取得を目指すアカデミックコースや、就職や仕事で必要なスキルを身につける職業コースで学ぶのが一般的です。
コースは美容やファッション、デザイン、演劇、ツーリズムなど多岐にわたり、コースによってはBTECやNVQ、ディプロマを取得できます。資格取得のための訓練は実際の職場で行われる独自の教育スタイルで、国際的に高く評価される資格が得られるのが魅力です。
専門学校留学には学生ビザ(一定レベルの英語力が必要)を取得しましょう。
5.ワーキングホリデー(YMS)
ワーキングホリデー(YMS:Youth Mobility Scheme)は、18歳から30歳(日本国籍の場合)の人を対象に、イギリスで最長2年間居住や就労ができる制度です。
他国のワーキングホリデーに比べて滞在可能期間が長く、自由度の高い点が魅力です。期間中には制限なく就労や就学が可能で、語学学校に通いながら働くこともできます。また、イギリスの国民保健サービス(NHS)に加入できるため、渡航前に長期海外滞在用の保険に加入する必要がない点も特徴です。
ワーキングホリデーには、ワーキングホリデー(YMS)ビザの申請が必要で、年間6,000人が先着順で申請できます。
イギリス留学のメリット! 人気と言われる6つの理由
イギリス留学のメリットを6つ紹介します。英語発祥の地イギリスで本場の英語が学べるのはもちろん、グローバルな視野を広げられる留学先としても知られています。イギリス留学が人気な理由を詳しく見ていきましょう。
1.英語の本場でイギリス英語を学べる
イギリス留学のメリット1つ目は、英語の本場でイギリス英語を学べることです。英語は、もともと現在のイギリスに住んでいた部族が話していた言葉が起源とされ、そこからアメリカやカナダ、オーストラリアなど世界中へと広まりました。
アメリカ英語が主流な日本の英語教育ですが、アメリカ英語と比べて1語1語はっきり発音するイギリス英語は、慣れれば日本人にとって発音や聞き取りがしやすいとも言われています。
ただし、イギリス国内でも地域ごとに異なる方言が存在するので、各地を訪れる際には、その土地ならではのアクセントや言い回しを学んでみてはいかがでしょう。
2.日本人留学生が少ない
イギリス留学のメリット2つ目は、日本人留学生が少ないことです。英語を使わざるを得ない環境に自然と身を置けるため、英語を習得するスピードの大幅な向上が期待できます。
出典:独立行政法人日本学生支援機構(JASSO).「2022(令和4)年度 日本人学生留学状況調査結果」「2019(令和元)年度 日本人学生留学状況調査結果」をもとに作成
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が2024年2月時点で大学等からの回答をもとに集計したデータによると、2022年における日本人留学生数は、アメリカ、オーストラリア、カナダと比較してイギリスが最も少ないことが分かりました。この傾向は新型コロナウイルス感染症の流行前の2019年と比べても変わりません。
ロンドン以外の都市ではさらに日本人と出会う確率は下がるので、英語漬けの環境で学びたい人にとって理想的な留学先と言えるでしょう。
3.英語以外にも学べる分野が豊富にある
イギリス留学のメリット3つ目は、英語以外にも学べる分野が豊富にあることです。ビジネススクールや建築、医学などの学位取得を目指せるのはもちろん、アートや音楽、演劇、ファッションなどのクリエイティブ分野も学べる学校が充実しています。
長期の大学留学が難しい場合でも、専門学校で特定の分野を深く学んだり、語学学校に併設のアートやデザインのコースを受講したり、英語を学びながら専門知識を同時に深めることも可能です。
4.ヨーロッパ各国にアクセスしやすい
イギリス留学のメリット4つ目は、ヨーロッパ各国にアクセスしやすいことです。日本と同じ島国のイギリスですが、ヨーロッパ各国と距離が近いため、まるで国内旅行のように気軽に他国を訪れられます。
飛行機であれば約1時間~2時間でヨーロッパのほとんどの国へ、ユーロスターを使えば約2時間半でフランス・パリに到着可能です。長期休暇や週末だけでなく、日帰り旅行もできます。LCC(格安航空会社)が多くの都市へ就航しているので、時期を選べば片道数千円〜1万円の航空券も見つけられるでしょう。
5.異文化体験&多彩なエンタメが楽しめる
イギリス留学のメリット5つ目は、異文化体験や多彩なエンタメが楽しめることです。イギリスにはヨーロッパ各国をはじめ、中東、アフリカ、アジアなどさまざまな地域から人々が集まってきます。
文化や習慣、宗教など異なるバックグラウンドを持つ人々との触れ合いから、異文化に対する理解を高め、視野を広げることが期待できるでしょう。
また、美術館や博物館、アートギャラリー、ミュージカルのほか、サッカーやテニスなどのイギリスを代表するスポーツの観戦も楽しめます。このように、イギリスには常に刺激を感じられる環境があるため、長期の留学でも飽きることがありません。
6.ワーキングホリデー(YMS)は最長2年間滞在できる
イギリス留学のメリット6つ目は、ワーキングホリデー(YMS)で最長2年間滞在できることです。カナダやオーストラリアなど他国のワーキングホリデーでは通常1年間が基本ですが、イギリスではより長く滞在できるため、学びや仕事の幅が広がります。
さらに、イギリスのワーキングホリデーには就業や就学に関する制限がないため、自分のペースで学校に通ったり働いたりしたい人には最適です。
学士課程、修士課程を学ぶ学生にとっては、卒業後に2年間有効なビザが受給される可能性もあり、イギリスでの就職のチャンスは大きく広がるでしょう。
イギリス留学におすすめの都市
イギリス留学におすすめの都市を5つ紹介します。イギリスと言っても都市により環境が大きく変わるため、ご自身の留学の目的に合った都市を見つけてみましょう。
ロンドン
ロンドンはイギリスの首都で、世界的な文化と経済の中心地です。多くの有名大学や語学学校が集まり、学びの環境が充実しています。博物館や美術館、劇場などエンターテインメントも豊富で、世界中から集まる人々との交流も楽しむことが可能です。
公共交通機関が発達しているため、移動が便利で観光にも最適。多国籍な料理が楽しめるのも大きな魅力です。
オックスフォード
オックスフォードは、世界トップクラスの名門校オックスフォード大学がある学園都市です。街全体が中世の雰囲気を残し、映画『ハリー・ポッター』シリーズのロケ地としても知られています。
歴史と伝統を感じさせる建物が並び、学生の多い環境の中で学問を深められるのが特徴です。ロンドンからのアクセスも良く、静かな環境で集中したい人におすすめです。
ブライトン
ブライトンは、海辺のリゾート地として知られるおしゃれな都市です。自由でアートに溢れた雰囲気が特徴で、語学学校やアート系の教育機関も多くあります。
ビーチでリラックスしたり、カフェやショップを楽しんだりできるのが魅力で、ロンドンから電車で1時間程度とアクセスも良く、勉強とリゾート気分を両立させたい人にぴったりです。
ケンブリッジ
ケンブリッジは、オックスフォードと並ぶ名門大学を擁する学問の街です。落ち着いた環境で、勉強に集中しやすい雰囲気が魅力で、歴史的な建築や美しい自然が街を包み、散策するだけでも楽しめます。学問に専念できる環境と、美しい街並みや自然が調和したケンブリッジは、留学先におすすめの都市です。
エディンバラ
エディンバラはスコットランドの首都で、豊かな歴史と文化を持つ街です。世界遺産に登録された旧市街と新市街や、美しいエディンバラ城がそびえる街並みが魅力です。
タータンチェックやバグパイプなど、スコットランドならではの文化に触れながら学べる環境が整っています。大学や語学学校も多く、自然と都市が調和した環境でのびのびと過ごすことが可能です。
イギリス留学の費用相場
例えば、イギリスへ大学留学する場合にかかる費用は、約530万円(※1)からが相場です。学費やビザ申請費用、航空券代などの渡航前に必要な費用はもちろん、渡航後には生活費や家賃もかかります。以下に、主な費用の目安を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
- 大学進学準備コース:年間約180万円~
- 大学:年間約200万円~
- 大学院:年間約300万円~
ビザ申請費用(申請時のみ) |
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NHS(国民保健サービス)代 ※6か月以上滞在する場合 |
776ポンド(約15万円) |
海外留学保険 ※6か月以下の滞在 またはNHSに加えて保険に入る場合 |
約15万円~ |
航空券代(往復) | 約20万円~ |
生活費 (食費・日用品代・SIM代など) |
約50万円~ |
家賃 | 約190万円~ |
定期券代(学生用) ※Zone1~4の場合 |
約32万円 |
なお、高校生留学でボーディングスクール(全寮制/18歳まで)に入学する場合の学費は、年間約400万円(※2)からです。さらに、親が同伴しない場合はガーディアン(後見人)を指定する必要があるため、加えて年間約30〜50万円はかかることを知っておきましょう。
※1:費用は2024年12月17日現在のレートで、イギリスポンドから日本円に換算しております(1ポンド=約195円)。
※2:基本的に、学費・宿泊費・食費・サポート代などが含まれます。ただし、追加で必要な費用もあるため各学校に確認してください。
イギリス留学のデメリット:難しいと言われる4つの理由
イギリス留学が難しいと言われる理由を4つ紹介します。魅力的な留学先として人気のイギリスですが、実際に生活してみると予想外の困難に直面するかもしれません。これらの事実を事前に知ることで、より充実した留学生活を送れるでしょう。
1.他国に比べて生活費が高い
イギリス留学が難しいと言われる理由の1つ目は、他国に比べて生活費が高いことです。
出典:Expatistan,「Compare cost of living between cities」の検索結果をもとに作成
特に家賃や交通費が高額で、ロンドン市内では数人と同居のシェアフラットでも約800ポンド(約15万円)以上かかることが一般的です。交通費はロンドン中心地のみ移動可能な学生定期券でも月2万円を超えます。
さらに外食費も高く、ランチだけで約3,000円以上になることも珍しくありません。
節約のためには自炊を心掛けるのが効果的です。また、移動には徒歩や、有名なロンドンバスを利用して、歴史的な街並みを楽しんでみてはいかがでしょう。
2.天気の不安定な日が多い
イギリス留学が難しいと言われる理由の2つ目は、天気の不安定な日が多いことです。イギリスと言えば、曇りの日が多いイメージを持つ人も多いでしょう。気温も日本より低めで、特に冬は夕方4時を過ぎると暗くなるため、気分が沈みがちになる人も少なくありません。
「一日の中に四季がある」と言われるほど天気が変わりやすく、快晴だと思っていたら、数時間後には土砂降りの雨になることもあります。イギリスへの留学を考えているなら、折り畳み傘は必需品です。
一方で、イギリスは湿気が少ないため、過ごしやすいと感じる人もいます。夏には夜10時ごろまで明るい日が続き、一日をより長く楽しめるでしょう。
3.イギリス英語に慣れるまで時間がかかる
イギリス留学が難しいと言われる理由の3つ目は、イギリス英語に慣れるまで時間がかかることです。日本人は、日本の英語教育によりアメリカ英語に慣れています。そのため、イギリス英語の独特の言い回しや発音、スペルの違いに戸惑うかもしれません。
さらに、イギリス国内でも地域ごとに訛りがあり、特にスコットランドのようなイギリス北部の英語は、イギリス英語を聞き慣れている人でも聞き取りが難しい場合があります。
ただし、こうした多様な訛りや表現に触れることができるのも、イギリス留学の魅力と言えるでしょう。
4.イギリスの食事が口に合わない場合がある
イギリス留学が難しいと言われる理由の4つ目は、イギリスの食事が口に合わない場合があることです。イギリスの料理は日本の料理より味付けがシンプルなため、最初は物足りなく感じることもあるでしょう。
しかし、イギリスは多国籍の人々が集まる国です。街には日本食をはじめ中華やイタリアン、インド料理など、各国の本場の味が楽しめるレストランが多く存在します。日本食スーパーもあるため、日本の味が恋しくなったら家で自炊するのもおすすめです。
素材の味を楽しむイギリス料理や各国のグルメから、多様な食文化に触れてみてはいかがでしょう。
イギリス留学が向いている人&向いていない人
これまで、イギリス留学のメリットや難しいと感じる点、費用などを紹介してきましたが、場合によってはアメリカ、オーストラリア、カナダなど他の国の方が合っていることもあります。特に長期留学の場合、その地での生活が自分に合うかどうかを慎重に見極めることが大切です。
以下に、イギリス留学に向いている人と向いていない人の特徴をまとめているので、ぜひ国選びの参考にしてみてください。
イギリス留学に向いている人 | イギリス留学に向いていない人 |
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