海外留学は高校生にとって大きな挑戦であり、人生の分岐点となる経験です。一方で、現地での生活に対する不安もあるでしょう。海外留学に挑戦するためには、どんな選択肢があるのか、またメリット・デメリットについて正しく理解することが重要です。
本記事では、高校生が海外留学を検討する際に知っておきたい情報を、種類や国、滞在先から費用や留学後の進路まで、幅広く解説します。
高校生ができる海外留学の種類
海外留学には、短期留学や正規留学など、さまざまな種類があります。それぞれ見ていきましょう。
短期留学(春休み・夏休み)
高校生の短期留学は、春休みや夏休みを活用することで学校生活との両立が可能です。短期留学は1週間から参加可能なプログラムが多く、授業や部活動で忙しい高校生にとっても比較的取り組みやすい点が特徴です。
短期間の留学でどれほどの効果が得られるのかと疑問を抱く方もいるかもしれません。ですが、英語に囲まれた環境に身を置くことで、リスニング力の向上や英語に対する抵抗感の軽減といった成果が期待できます。
団体語学研修
初めての海外で不安を感じる高校生には、団体語学研修が最適です。引率者が同行し、現地では同世代の仲間と一緒に学べるため、安心して参加できます。現地での活動や授業は語学力向上に重点を置いており、英語を実際に使う経験を積むにはうってつけです。
正規留学
正規留学は、海外の高校に長期間通い、本格的な学業を経験できるプログラムです。海外の教育カリキュラムに参加することで、学力と語学力をバランスよく伸ばせます。高校生の時期に正規留学を選ぶことで、進学やキャリアの選択肢が広がるでしょう。
短期留学と比べると滞在期間が長くなるため、全体の費用はやや高額になる傾向がありますが、留学先の国や学校の選び方次第で費用を抑えることも可能です。
交換留学
交換留学は、異文化を肌で感じながら現地の高校生と同じ生活を送るプログラムです。期間は1年程度が一般的で、海外の家庭にホームステイしながら、現地の高校に通います。費用が抑えられることが多いのも、経済的負担が心配な高校生や親御さんにとって魅力的です。
交換留学の場合、在籍している高校が海外の高校と姉妹校協定を結んでいるケースもあります。交換留学に興味があれば、まずは学校に確認してみましょう。
ボーディング留学
全寮制の学校に通うボーディング留学では、高校生が現地での自立を経験する絶好のチャンスです。学業だけでなく、寮生活を通じて社会性やコミュニケーション能力を磨けます。親元を離れる初めての体験として、自立心を育むのに適しています。
高校生の海外留学でおすすめの国
次に、高校生の海外留学におすすめの国を紹介します。
アメリカ
アメリカは、自由で多様な教育環境が特徴です。高校生にとって、新しい文化や考え方に触れる刺激的な経験ができます。特に課外活動が充実しており、スポーツやアートを楽しみながら学べる点が魅力です。また、アメリカは高校生であっても個性を尊重する教育をしますので、英語だけでなく自立心を学ぶにもうってつけです。
カナダ
親しみやすい国民性で知られるカナダは、高校生の初めての留学先として人気の国です。現地の学校は留学生に対してサポート体制も充実しています。教育プログラムも先進的ですので、様々なことを学ぶ機会が得られます。大抵の場所が治安も安定していますので、子どもを留学させる親御さんも安心して送り出すことができます。
オーストラリア
オーストラリアの高校は、語学に加えてプレゼンテーションやディスカッションの機会を多く提供しており、高校生の柔軟な発想や好奇心を引き出してくれます。移民が多い国でもあるため、外国人に対してフレンドリーな国民性があります。また、オーストラリアは日本との時差が少ないため、家族と連絡が取りやすい点もメリットの一つです。
ニュージーランド
ニュージーランドは、自然が豊かで年間を通して穏やかな気候で暮らしやすい国です。男女平等社会で外国人への差別も少なく人に優しい環境です。英語は地域によって独特な表現や発音の違いは多少ありますが、イギリス英語がルーツですので、問題なく世界でも通用します。学校施設も充実しており、少人数制の教育により先生と生徒の距離が近いため、きめ細かなサポートを受けることができます。
イギリス
イギリスは質の高い教育システムが有名で、英語発祥の地ゆえに本質的な英語学習の機会が得られます。そしてクイーンズイングリッシュと呼ばれる標準英語を学ぶことができます。イギリスでは歴史ある生活様式を体験することができて、世界でも通用するマナーも学べます。多感な高校生にとっては学習以外でも貴重な経験をすることができるでしょう。
アイルランド
アイルランドは英語が公用語ですので、英語を学ぶ環境としては最適な国の一つです。訛りや独自のアクセントがありますが、イギリス英語がベースとなります。教育の質も高く、学びやすい環境が整っています。アイルランドはフレンドリーな国民性として有名です。周囲のサポートにより充実した留学生活がおくれるでしょう。
フィリピン(セブ島)
フィリピンのセブ島は、短期留学を希望する高校生におすすめの留学先です。たくさんの語学学校があり、レベルに合わせたプログラムも豊富です。最近では親子留学先としても人気です。日本から距離的に近く欧米留学に比べて費用を抑えることができるのは大きなメリットです。
高校生の海外留学でおすすめの滞在先
留学中の滞在場所は、学生寮やホームステイ、ホテル・コンドミニアムといった選択肢から選べます。各滞在先の特徴を紹介します。
学生寮
留学先の学生寮は、高校生にとって同世代の仲間と共同生活を送れるため、新しい友達を作りやすい環境です。学校から近いため通学時間が短縮され、時間を有効に使えるのが魅力です。
寮生活では規則正しい生活が求められ、自己管理能力も養われます。敷地内に先生が住んでいることが多く、生徒も安心して滞在できます。団体行動が苦手な人には少々厳しいかもしれませんが、週末には寮生向けの様々な楽しいイベントが用意され、留学生活を豊かにする要素が満載です。
ホームステイ
現地の家庭に滞在するホームステイは、高校生が現地の文化や習慣を身近に学ぶ機会になります。リアルな現地語に接する機会も得られます。家庭的な環境で生活するため、安心感があり、親元を離れた初めての体験として適しています。
留学中にお世話になったホストファミリーとは、帰国後も連絡を続ける人が多く、数年後に再び訪れることもよくあります。
ホテル・コンドミニアム
学校によってはホテルやコンドミニアムに宿泊しながら学ぶことが可能です。短期間のプログラムに適しており、プライバシーや快適さを重視する高校生に向いています。フィリピンのセブ島などでは、高校生の子どもと親が親子短期留学により、ホテル・コンドミニアムから学校に通う人は多いです。
高校生の海外留学にかかる費用
高校生の海外留学は費用がかかるものの、選ぶ国やプログラム次第でコストを抑えることが可能です。
例えば、生活費が比較的安い国を選んだり、短期間のプログラムを活用することで負担を軽減できます。また、奨学金制度や助成金を利用することで、費用面のハードルを下げることもできるでしょう。
高校生の海外留学にかかる費用を詳しく解説します。
短期留学の費用目安
短期留学の費用は、渡航先や滞在期間によって異なりますが、2週間を目安とすると30万円から100万円程度です。フィリピン、マレーシア、韓国などアジアの国はさらに安くなるでしょう。プログラムに含まれる内容や航空券の有無によって変動するため、事前に確認しましょう。
奨学金制度について
高校生を対象にした奨学金制度を利用することで、留学費用の一部を軽減できます。日本の自治体や国際交流団体が提供する奨学金を調べてみましょう。経済的な負担を減らしながら海外留学に挑戦できるかもしれません。
高校生の海外留学までの流れ
留学を計画する際には、「何を学ぶのか」「どのような経験をしたいのか」「どの国に行きたいのか」といった目的を明確にし、情報収集から始めましょう。
そして希望国や滞在方法を決め、適性診断や入学手続き、必要書類の準備を行います。学校を選択し、渡航手続きやステイ先の手配、出発前のオリエンテーションを受けた後、持ち物を揃えて出発します。
計画的に準備を進めて留学を成功させましょう。
高校生の海外留学後の進路について
高校生の海外留学後の進路には、さまざまな選択肢があります。日本の高校への復学、日本や海外の大学への進学が考えられます。
1年までの留学なら日本の高校に復学するケースが多いです。その際、海外で取得した単位も一定範囲で移行可能です。
海外で高校を卒業した場合、帰国生入試やAO入試の利用ができます。その場合、日本や英語圏の大学への進学という広い選択肢を視野に入れることができます。
高校生で海外留学するメリット・デメリット
最後に、高校生で海外留学するメリット・デメリットを見ていきましょう。
高校生で海外留学するメリット
高校生の留学は、語学力やコミュニケーション能力を磨くだけでなく、英語漬けの環境で苦手意識を克服し、自信を養う貴重な機会です。
アメリカやカナダ、オーストラリアなどの国々では、授業にグループディスカッションを積極的に取り入れているため、語学力だけでなく、自己表現力向上も期待できます。
また、自立心や適応力を育むことができ、これらの経験は将来の進路やキャリア選択にも大いに役立ちます。さらに、挑戦を重ねる中で生き抜く力を身につけ、国際社会で活躍するための基盤が築かれます。
留学は家族にとってもお互いの絆を深める良い機会となります。離れて暮らす中でお互いの大切さを再認識することでしょう。子どもは留学経験を通して間違いなく成長するきっかけを掴みます。
高校生で海外留学するデメリット
高校生の留学には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットや注意点があることも忘れてはなりません。
例えば、留学には費用がかかります。文部科学省の調査では、全日制の高校の学費総額は、公立の場合で 512,971円です。海外の高校への正規留学は1年で150〜600万円かかりますので、かなり費用がかさむことがわかります。
(参考:文部科学省結果の概要-令和3年度子供の学習費調査)
留学先によっては現地でのサポート役を依頼するための費用が必要になる場合もあります。大学生や社会人の留学と比べても費用が高くなる傾向があります。
長期留学では、受験の時期などを調整するために学校の先生や進路指導担当者と事前に相談しておくことも重要です。
高校生で海外留学に挑戦するのであれば、課題やデメリットを理解したうえで、目的や目標を明確にすることが重要です。
例えば、「大学受験のために英語力を強化したい」「異文化の中で自立心を育てたい」など、具体的なビジョンを持つことで、留学中に直面する困難にも前向きに向き合えるでしょう。
まとめ
高校生の海外留学は、語学力の向上や異文化理解、自己成長など、多くのメリットをもたらす貴重な経験を得ることができます。
親としては本人の適性をしっかりと見極め、留学の目的や渡航先を子どもと話し合い納得の上で選ぶことが成功の第一歩となります。
留学について不安な点や分からない点は経験者に聞くのが一番ですが、豊富な実績を持つ留学エージェントに相談してみるというのも一つの方法です。最適な留学先を提案してくれるかもしれません。
若い高校生の時期だからこそ得られる貴重な体験を、海外留学で実現してみませんか?視野を広げ、将来への可能性を大きく広げる第一歩として、ぜひ海外留学に挑戦してみてください。